金融制度を活用した資産づくりと節税の基本|スタッフ・業務委託メンバー向けガイド
はじめに:なぜ知っておくと役に立つの?
この資料は、小規模な事業を営む経営者の方や、業務委託・フリーランスとして働く方に向けて、
将来のためにお金を準備する方法や、税金を減らす仕組みを、できるだけわかりやすくまとめたものです。
実は、国が用意してくれているおトクな制度を上手に使うことで、
節税しながら、老後や将来の資金をムリなく準備することができるのです。
でも──
「投資はむずかしそう」
「制度のことはよく知らないし、自分には関係ない」
そんなふうに思って、ついスルーしてしまうこともありますよね。
しかし、知らない・わからないままにしておくと、気づかないうちに損をしていることがあるんです。
- 本当は払わなくてもいい税金を払っていた
- 本当はふやせたお金をふやせていなかった
- 本当は使える制度を使っていなかった
「使わない」のは自由です。
でも、「知らなかっただけで損していた」というのは、やっぱりもったいないですよね。
この内容が、ちょっと知ってみようかな、と思える“きっかけ”になればうれしいです。
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1. なぜ「今」学ぶべきか?
経営環境がめまぐるしく変化し、税負担や将来の資金不安が高まる現在、制度を正しく使いこなすことは“守り”と“攻め”の両面で必須です。
小規模企業共済
企業型DC(確定拠出年金)
新NISA
という3大制度を中心に、資産形成と節税を同時に実現する方法を体系的にまとめました。
2. 3つの柱
柱 | 内容 | ねらい |
①長期・分散投資 | 時間と複利を味方につけ、世界全体へ分散 | 価格変動リスクの低減&安定成長 |
②制度別の税制メリット | 掛金の所得控除、運用益・配当の非課税など | 手取り資金を最大化 |
③具体シミュレーション | 「いくら積み立て、何年でいくら増えるか」を数値で提示 | 手行動イメージを明確化 |
3. 制度ごとのポイント
小規模企業共済
対象 | 個人事業主・中小企業経営者の退職金準備 |
運用 | 月額7万円を年払い(12月に翌年分まで支払い) |
メリット | 掛金全額所得控除/退職所得の1/2課税特例/低金利1.5%の貸付 |
活用例 | 借入金を民泊などの事業投資に充当 |
企業型DC(確定拠出年金)
対象 | 企業導入型年金(従業員が運用指図) |
運用 | 月額5.5万円を満額拠出(講師はiDeCoから移行) |
メリット | 掛金全額所得控除/運用益非課税/60歳以降に退職所得・年金受取 |
活用例 | 原則60歳まで引き出し不可。制度未導入企業はiDeCo活用 |
企新NISA
非課税枠 | 積立投資枠+成長投資枠(併用可) |
上限 | 元本合計 1,800万円 |
運用 | 枠を満額活用+積立併用/成長枠で株式投資も実施 |
メリット | 売却益・配当非課税/現金化しやすい |
活用例 | 損失は課税対象外(控除不可)。積立と一括のバランスが鍵 |
4. 運用シミュレーション(年利5.0%想定)
25年間運用した場合
小規模共済(年利1.5%) | 企業型DC/iDeCo | 新NISA | |
月額/一括 | 月7万円 | 月5.5万円 | 月30万円積立 → 1800万円運用 |
運用年数 | 25年 | 25年 | 25年 |
元本合計 | 2,100万円 | 1,650万円 | 1,800万円 |
最終残高 | 約2,546万円 | 約3,126万円 | 約6,103万円 |
増加率 | +21.2% (※据え置き) |
+89.5% | +239.1% |
10年間運用した場合
小規模共済(年利1.5%) | 企業型DC/iDeCo | 新NISA | |
月額/一括 | 月7万円 | 月5.5万円 | 一括1800万円 |
運用年数 | 10年 | 10年 | 10年 |
元本合計 | 840万円 | 660万円 | 1,800万円 |
最終残高 | 約906万円 | 約858万円 | 約4,883万円 |
増加率 | +8.0% | +29.9% | +171.3% |
※補足
- 小規模企業共済は年利1.5%で計算(公的制度の想定利回りに近いため据え置き)
- 新NISAは「30万円×60ヶ月=1800万円」積立完了後、一括で運用した想定
- 実際の利回りや税制は変動するため、シミュレーションは目安として活用
5. 投資手法と心構え
長期分散投資
- 全世界株式インデックスで地域・資産を広く分散
- トランプショック、コロナ禍も保有継続で回復実績
- 短期の値動きに振り回されない
平均利回りの活用
- 株式市場の長期平均:年平均5〜6%程度
- 時間×複利で資産を成長
- 非課税制度と組み合わせると効果が倍増
6. 節税効果の活用(25年間運用/税率50%想定※)
小規模企業共済 | 企業型DC/iDeCo | |
掛金合計 | 2,100万円 | 1,650万円 |
節税額 | 約1,050万円 | 約825万円 |
※最高税率(所得税+住民税 計50%)で試算。実際の節税額は所得状況により異なります。
7. 制度比較と併用戦略
小規模企業共済 | 企業型DC | iDeCo | 新NISA | |
掛金合計 | 月7万円 | 月5.5万円 | 月2万円 (予定7.5万円) |
1,800万円 |
節税額 | 所得控除・ 退職所得控除 |
所得控除・ 運用益非課税 |
所得控除・ 運用益非課税 |
運用益・ 配当非課税 |
引き出し可能年齢 | 任意(貸付可) | 原則60歳~ | 原則60歳~ | いつでも |
課税タイミング | 退職時(優遇) | 受取時 | 受取時 | 非課税 |
8. 留意点
- 控除の適用漏れ防止
確定申告・年末調整を正確に。ミスすると節税効果ゼロ。 - 掛金設定は無理なく柔軟に
長期制度ゆえ、急な資金需要にも対応できる資金計画を。 - 投資は自己責任
税優遇≠元本保証。リスクを理解し、分散/長期視点で運用。 - 法改正・制度変更に備える
掛金上限や非課税枠は変動する可能性。最新情報を確認し、必要なら専門家へ相談。
9. 専門家と連携するメリット
主なサポート
税理士 | 社労士 |
控除申請・所得区分/法人・家族間の節税設計/申告ミス防止 | 企業型DC導入・就業規則整備/社会保険料と報酬設計の最適化/労務リスク管理 |
なぜ必要か?
- 「知っている」と「使いこなす」は別物
- 年払いタイミング、併用制限など細かな条件をプロの視点で最適化
- 制度改正にも迅速対応でき、安心して長期運用に集中できる
10. まとめ
キー・ポイント
制度活用の基本 | 自ら実践・長期運用・制度理解 |
資産形成の鍵 | 複利 × 非課税 × 所得控除 |
投資マインド | 分散・継続・耐性 |
節税戦略 | 上限把握→満額活用+複数制度併用 |
情報源 | 実際に運用している人と専門家 |
資産形成は「知る」だけでなく「実践と調整」の連続。
信頼できる税理士・社労士と連携し、将来の安心と今の最適化を同時に実現しましょう。
投資は“自己責任”であることを忘れずに
制度の中には、節税できるものや、運用益が非課税になるものもあり、とても魅力的に感じるかもしれません。
ですが、投資には元本割れのリスク(損をする可能性)があることも忘れてはいけません。
ここが大事
- 投資商品は、価格が上がることもあれば、下がることもあります
- 税金の優遇があっても、損をしない保証はありません
- 「どこに・どれくらい投資するか」は自分自身の判断と責任で決める必要があります
だからこそ
- よくわからないまま始めない
- 人にすすめられたまま鵜呑みにしない
- 少しずつ学びながら、ムリのない範囲で、安心して続けられる方法を選ぶ
最後に
制度って、知っているだけじゃなくて、どう使うかがすごく大事だなと感じています。
私自身もいろいろ調べてきた中で、「これは一人で判断するより、専門家と一緒に考えた方が安心だな」と実感しました。
なので、信頼できる税理士さんや社労士さんと連携しながら、無理なく制度を活用していくのが、やっぱり一番いいなと思っています。
これはあくまで自分自身の経験からの考えですが、
「わからないことは、わかる人に聞く」って、本当に大事だと感じています。
最近は、まずAIにいろいろ聞いてざっくり整理してから、最後に専門家に相談するという流れにしています。
そのほうが、自分でも少し理解できた状態で話せるので、相談もしやすくなりました。
トレーニングと同じで、まずは“今の自分の状態”を知ることが大切。
だからこそ、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。